本文へスキップ

日本再生可能エネルギー総合研究所は、再生可能エネルギー普及のための情報収集と発信を行っています。

リポートREPORT

 ドイツリポート 2011.8-9

  B高効率のエネルギー、風力発電の挑戦
       〜洋上へ、蓄電設備併設へ(要旨)

 ドイツ中部から北部を中心にどこを走っても自然に目に入ってくる風力発電の風車。風力エネルギーでもドイツは圧倒的なヨーロッパ一を誇ります。技術の向上で発電効率が上がると共に、FIT制度の浸透で確実に利益が出るため短期間に驚異的な普及を見せました。まだまだ事業化したい向きも多いのですが、作りすぎでついに設置する場所が枯渇してきたという説さえ出始めました。

 そして向かうのは、海の上。洋上に大規模な風力発電所を作る計画が進行しています。洋上の風力発電所は、まだドイツにも2か所しかありません。しかし、今後は主流になるとみられており各企業の熱い視線が注がれています。建設、メンテナンス、送電などに莫大な費用が掛かり、通常の地上の風力発電所の倍の費用が必要だとも言われます。それでも建設熱が高いままなのは、洋上の場合FITによる電力の買い取り価格がそれに合わせて通常の倍近くとなるからです。また、比較的土地に余裕があるとみられているドイツ南部への広がりも期待され、州によってはこれまで禁止されていた森林地区への建設も認められることになりそうです。

 デュッセルドルフから1時間ほど離れた町に世界最大規模の風力エネルギーのテストフィールドがあります。日本ではほとんど知られていないこの施設は風力発電技術の共同開発研究と共に、発電プラントの認証も行うユニークな民間企業ウインドテストのものです。ここの認証を受けないとドイツ国内でプラントを作ることができません。世界各国の企業と認証テストのプロジェクトを毎年100以上行うインターナショナルな企業ですが、日本の企業とのプロジェクトは過去に一つもないということでした。(写真:ウインドテストの風力プラントのテストフィールド)

 風力発電の弱点の一つといわれる電力の系統連結の際の不安定性を解決するため、電力の「蓄電システム」の研究を行っている研究機関がデュッセルドルフを州都とするノルトラインヴェストファーレン州にあります。ゲルゼンキルヘン単科大学のクルーク博士の研究室です。このシステムでは風力発電の電力で余った電気で水を電気分解しいったん水素にします。これを必要な時に燃料電池を利用して電気に戻し、電力利用の平準化を図るものです。州では「燃料電池・水素ネットワーク」という水素社会に向けての取り組みを続けており、このプロジェクトもその基幹事業の一つです。すでにエネルギーバランスや採算性の計算を終えており、来年には研究室の設計に基づいた蓄電や再電力化などのトータルグリッドシステムがヘルテン市に建設され、通常スケールでの実証が始まります。

 再生可能エネルギーの拡大に伴って、系統につなぐ際のショックを抑える技術的な開発に焦点が集まってきました。発電のブレを平準化する方法としての各段階での取り組みです。発電側でコントロールする効率的な部分的な発電のシャットダウン方法、余剰電力による水素製造と燃料電池の組み合わせや電気を貯める蓄電システム、複数の電源を最適にコントロールするスマートシティやスマートグリッドなど。再生可能エネルギーの拡大は新たな技術分野の開発を呼びおこしています。

 

バナースペース

日本再生可能エネルギー総合研究所

JAPAN RENEWABLE-ENERGY
RESEARCH INSTITUTE : JRRI
略称:再生エネ総研

〒224-0001
横浜市都筑区中川2-9-3-403

2-9-3-403, Nakagawa, Tsuduki-ku, Yokohama-city 224-0001 Japan

WEB: http://www.jrri.jp
MAIL: info@jrri.jp
Twitter: @kit_jrri